最近、老後のお金がどうこうとテレビで話題になっていますよね。
老後2000万円問題とか、悠々自適のセカンドライフにはほど遠い内容です。
将来がどうなるかなんて、誰にもわかりません。
しかし、できる限り不安は取り除きたいものです。
老後のためにできることはないかとネットで「老後 お金」と言うキーワードで検索して、「iDeCo」にたどり着いたことはありませんか?
iDeCoって、老後のためにお金が貯められて、なんだかお得そうだけど、よくわからない。
この記事は、お得そうだけどよくわからないiDeCoのことをわかりやすく説明しています。
今回は、iDeCo以外にもなんとなくお得そうだけどよくわからない「つみたてNISA」と比較しながら、どこがどのようにお得なのかみていこうと思います。
(つみたてNISAについてまとめている記事もあるので、興味がある方はこちらもどうぞ!)
「なんとなく」ではなく「しっかり」お得の正体を確かめて、将来の不安を減らす第一歩に繋げてもらえれば嬉しいです!
目次
iDeCoって何?
なんとなくお得そうなiDeCoとは、一体どんな制度なのでしょうか?
一言で言うと、iDeCoは老後のお金を好きなスタイルで貯めつつ、節税ができる制度です。
iDeCoの正式名称は、個人型確定拠出年金と言います。
年金といえば、国民年金や厚生年金を思い浮かべますよね?
この2つは、「公的年金」と言われる年金です。
国民年金は20歳になれば加入しますし、厚生年金もほとんどの企業で自分の意志に関係なく加入しますよね。
iDeCoは公的年金とは違い、自分で加入するか、しないかを決められます。
このような自分の意志で加入を決める年金を「私的年金」と言います。
iDeCoは、加入するかどうかだけでなく、掛け金や、お金の運用方法も自分で選ぶことができるんですよ。
そして、一番のメリットは至る所で税金がかからないことです。
なんとなくお得の正体は、ここですね。
これからつみたてNISAと比べながら、さらに詳しく解説していきます。
つみたてNISAとiDeCoの特徴
比較とそれぞれのメリット
つみたてNISA |
iDeCo |
|
非課税対象 |
売却益、配当金、分配金 |
売却益、配当金、分配金 所得税、住民税の控除 公的年金等控除、退職所得控除 |
加入年齢 |
20歳 |
20歳以上60歳未満 |
積立期間 |
最長20年 |
加入時から60歳まで |
年間上限金額 |
40万円 |
14.4万円から81.6万円 |
積立最低金額 |
100円 |
月5000円 |
資金の引き出し |
制限なし |
60歳から |
投資対象 |
金融庁の基準を満たした 投資信託、ETF |
定期預金、保険 投資信託 |
それぞれの特徴を表にまとめてみました。
一つずつ詳しく見ていきましょう。
・非課税対象
つみたてNISAとiDeCoの大きなメリットは、本来かかるはずの税金が免除される点です。
【非課税対象その1:利益】
つみたてNISAとiDeCoのどちらにも共通する部分ですね。
日本では利益を得ると、必ず税金が発生します。
投資で出た利益だけでなく、利子も利益と見なされてしまうんです。
しかも、これらにかかる税率は、20.315%と高めなんですよね。
つみたてNISAやiDeCoを利用すると、これらの税金が免除されます。
【非課税対象その2:所得税と住民税】
これはiDeCoだけのメリットです。
iDeCoの掛け金は全額所得控除になります。
ここが「なんだかお得っぽい」のメインではないでしょうか。
そもそも所得控除とは一体何でしょうか?
なんとなく税金が安くなりそうな言葉ですが、詳しく知っていますか?
あやふやな部分を解説していきましょう。
まず所得税について説明します。
所得税は、1年間に働いて稼いだ収入にかかる税金です。
もっと正確に説明すると、収入から必要な経費を引いた純粋な利益を「所得」と言います。
この所得にかかるのが所得税です。
所得税は、所得の全額に税金がかかるわけではありません。
個人の事情を考慮してくれるんです。
大きな病気をして医療費がかかった場合や、子供や親を養っている場合は、所得から一定の金額を差し引いてくれるんです。
これが「所得控除」です。
控除される金額が多いほど、所得が下がるので、所得税は安くなります。
iDeCoで払った掛け金は、全額所得控除の対象になります。
所得からiDeCoの掛け金が引かれるので、所得税が安くなる訳です。
住民税は、前年の課税の対象になった所得(所得-所得控除)によって、税金の額が決まります。
つまり、こちらも控除をいっぱいしてもらって所得を下げるほど、住民税は安くなる仕組みです。
【非課税対象その3:公的年金等控除、退職所得控除】
これもiDeCoだけのメリットです。
60歳を迎えてお金を受け取るときも、残念なことに、税金が発生します。
腑に落ちませんが、利益と見なされて税金がかかるんですよね。
税金がかかってしまいますが、控除の対象になるので、多少お得感があります。
お金の受け取り方は下で詳しく説明しますが、一括で受け取るときは「退職所得控除」、分配で受け取る場合は「公的年金等控除」の対象になります。
つみたてNISAは、非課税になるのは投資のみでした。
しかし、iDeCoは投資だけでなく、所得税や住民税なども控除されます。
節税面では、iDeCoに大きなメリットがありますね。
なんとなくお得の理由が、はっきりしてきましたか?
しかし、これだけでiDeCoってすごい!と喜んではいけません。
メリットだけでなく、デメリットもあるんです。
メリットとデメリットの両方を知って、理解を深めていきましょう。
・加入年齢
制度の利用ができる年齢です。
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つみたてNISA……20歳以上
-
iDeCo……20歳以上60歳未満
つみたてNISAは、20歳を越えていれば年齢関係なくはじめることができます。
iDeCoは年金と言われるだけあって、年齢の上限があります。
今は60歳が上限ですが、60歳から65歳に加入年齢を引き上げる案が厚労省から出ているようです。
ほとんど年齢を気にしなくていいという点では、つみたてNISAの方が有利な感じがしますね。
・積立期間
-
つみたてNISA……20年間
-
iDeCo……加入時から60歳になるまで
つみたてNISAは、20年間の積立期間があります。
しかし、注意する点が一つあります。
つみたてNISAには、投資期間が設けられているんです。
期間は、2018年から2037年まで。
2018年から投資をはじめていれば、まるまる20年間投資をすることができます。
しかし、2019年以降に投資をはじめると、投資期間が設けられているせいで、投資期間はどんどん短くなってしまいます。
2019年からはじめると19年間、2030年からだと8年間という具合ですね。
iDeCoは、原則は60歳になるまで積み立てることができます。
何歳から積み立てをはじめたかによって、積み立て期間が変わってきます。
20歳からはじめれば、60歳までの40年間です。
50歳からはじめた場合は、10年間と言うことになりますね。
・年間に投資できる上限金額
1月1日から12月31日までの1年間にいくら投資できるかです。
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つみたてNISA……40万円
-
iDeCo……14.4万円から81.6万円
つみたてNISAは年間40万円とわかりやすいですね。
iDeCoは約14万円から81万円とかなりの開きがあります。
この開きの原因は、勤務先や雇用形態によって、上限額が変わってくるからです。
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公務員……月額1万2千円
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会社員……2万3千円(※条件によって異なる)
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自営業者……6万8千円
おおまかに分けるとこんな感じになります。
つみたてNISAはどんな仕事をしていても一律40万円です。
それに対してiDeCoの場合は職業によってかなりの違いがありますね。
・最低金額と積み立て方法
表にすべて載っていませんが、ここでは積み立てられるお金についてまとめて説明したいと思います。
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つみたてNISA……100円(100円単位で増額)
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iDeCo……月5000円(1000円単位で増額)
つみたてNISAの積立最低金額は、金融機関によって異なります。
楽天証券やSBI証券のようなネット証券会社は、100円から積み立てられるところが多いです。
対面式の銀行や証券会社は、1000円からのところが多いようです。
増額できる単位も金融機関によって異なるので、注意してください。
つみたてNISAは、定期的にこつこつと積み立てていくスタイルです。
毎日、毎週、毎月、隔月、半年と色々なペースで積み立てられます。
ただし、金融機関によってどんなペースで積み立てられるのかに違いがあります。
金融機関を選ぶときは、どんなペースで積み立てるか、いくらから積み立てられるかを見る必要がありますね。
もう1つ情報を補足すると、積立金額の変更は、いつでも可能です。
iDeCoは、金融機関に関係なく月5000円から積み立てなければなりません。
5000円以上は1000円単位で金額を設定することができます。
積み立て方法は毎月、半年、一年と選べます。
しかし、金額や積み立てるペースの変更ができるチャンスは、年に一度しかありません。
積み立てペースや、金額はしっかりと考える必要がありますね。
積み立てる金額や、ペースには大きな差がありますね。
つみたてNISAが100円からはじめられるということは、コンビニでコーヒーを一杯買うのを我慢したお金で、はじめることも可能です。
最初から大きな金額を投資するのに不安な方や、投資がどんなものか試してみたいと言う方は、つみたてNISAの方がいいかもしれませんね。
・資金の引き出し
お金を引き出す時期についてです。
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つみたてNISA……いつでも引き出せる
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iDeCo……60歳以降
つみたてNISAは、資金の引き出しに何の制限もありません。
いつでも好きなときに引き出せます。
ただし、引き出すと言っても、銀行に預けているお金をATMで引き出すのとは、少し違います。
今まで買った投資信託を売って、現金に換えてから引き出すようになります。
iDeCoは、年金と言うだけあって60歳を越えるまで引き出せません。
さらに、好きなときに好きなだけ引き出すこともできません。
受け取り方は下の3つです。
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一括で受け取る。
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年金と同じように分割で受け取る(5年~20年)
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一時金と分割を合わせる
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受取の開始は、60歳から70歳の間で自由に決めることができます。
60歳になると、受取開始時期や受け取り方を自分で決めることになります。
それまでに、どういう方法でお金を受け取るか考えなければいけません。
ただし、加入期間が10年以下(例えば55歳から加入したなど)の場合は受給開始年齢が引き上げられてしまいます。
最大で65歳まで受取開始時期が引き上げられるので、加入期間が10年以下の場合は気を付けてください。
お金を受け取れるのが60歳以上というのがiDeCoのデメリットになります。
さらにiDeCoは途中で解約できません。
例えば、25歳から35歳までiDeCoで積み立てていたとします。
35歳でマイホームを購入し、住宅ローンの返済で、iDeCoで積み立てる余裕がなくなりました。
こうなった場合、積み立てをストップすることはできます。
しかし、解約はできないので口座はそのまま持ち続けなければなりません。
ここに問題があるんです。
口座を持っているだけで、手数料が発生してしまうんです。
その金額が年に2千円から7千円程度。
安い金額じゃないですよね。
積み立てをして控除があれば十分に、相殺できます。
しかし、積み立てをしていないと、控除がなく、完全にマイナスです。
このマイナスが10年20年と続くとかなりの金額になってしまいますよね。
さらに、25歳から35歳まで積み立てたお金をローンにあてることはできません。
お金が手元に戻ってくるのは、60歳を過ぎてからになります。
iDeCoは、年金と言うだけあって、老後のために備えているという感じですね。
はじめる場合は、使わないでいいお金を確保し、しっかり計画を立てる必要がありそうです。
・投資対象
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つみたてNISA……金融庁が設けた基準をクリアした投資信託とETF
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iDeCo……定期預金、保険、投資信託
つみたてNISAは、金融庁お墨付きの投資信託とETFから商品を選びます。
商品の数は、全部で163本です(2019年5月7日時点)
選択肢が限られていて、初心者には選びやすいと思います。
投資信託は、専門家がお金を運用してくれるので、経験が不足している初心者でもはじめやすいのが特徴です。
さらに、投資信託の中でも、金融庁の厳しい基準をクリアしている商品ばかりなので、比較的リスクが低いです。
しかし、投資と言うのは、絶対に損をしないとは言い切れません。
ただ、リスクがある代わり、順調に運用できればお金は大きく増える可能性が高いです。
つみたてNISAは、投資信託しか選べないので、どうしてもリスクが伴ってしまいます。
iDeCoは、つみたてNISAより選べるものが多く、元本保証されている商品も存在します。
自分のお金が減るのは絶対に嫌!という方にも安心の「定期預金」があります。
これは慣れ親しんだお金の貯め方ですよね?
自分で貯めた分は、減ることがないので安心です。
保険も取り扱っていますが、生命保険や医療保険とは違い、貯蓄がメインの保険です。
怪我や病気の保証はないので注意してくださいね。
これも基本的には元本が保証されています。
また、つみたてNISAと同じで、リスクを覚悟で投資信託を選ぶこともできます。
iDeCoの場合は、つみたてNISAで選べない投資信託も選べます。
どれか一つを選ぶのではなく、いくつか組み合わせることもできるので、定期預金で確実にお金を貯めつつ、少し冒険して投資信託でお金を増やすことも可能です。
つみたてNISAは、比較的リスクが少ない投資信託から商品を選ぶので、投資の初心者に向いていると言えますね。
iDeCoは、節税しつつ確実にお金を貯めたい方から、投資でお金を増やしたい方まで、色々な運用方法を考えることができます。
つみたてNISAとiDeCoは自分に合うものを選びましょう。
つみたてNISAとiDeCoの特徴をみてきました。
なんとなくお得そうだから、どうしてお得かがはっきりわかったでしょうか?
つみたてNISAにも、iDeCoにもメリットとデメリットがありましたよね?
つみたてNISAとiDeCoは、どちらが得だという明確な基準はありません。
どの部分に魅力を感じたか、ここは絶対に受け入れられないと思った部分はどこかなど、自分にはどっちが向いているのか考えてみましょう。
例えば、5年後にマイホーム購入予定があり、積み立てできるか不安な場合は、いつでもやめられるつみたてNISAがいいと思います。
上手く運用できればお金を増やすこともできますしね。
どうしても老後が不安だからお金を貯めておきたいという場合は、iDeCoがいいでしょう。
お金に余裕があれば、つみたてNISAとiDeCoの両方はじめるのもいいかも知れません。
人によって環境やお金を取り巻く状況は様々です。
なので、一人ひとりが将来のためにできることは違うと思います。
今すぐどちらかをはじめてくださいとは言いません。
ただ、自分ならどうするかを考えてみるのもいいことだと思います。
たまにはお金や将来のことと向き合って、自分なりの選択肢を考えてみるのも、不安を減らす一歩になるのではないでしょうか?