つみたてNISAの落とし穴!非課税枠の注意点を詳しく解説します

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つみたてNISAは、投資で出た利益に税金がかからないお得な制度です。

しかし、知らなかったら損をしてしまう落とし穴が存在しています。

今回説明する落とし穴の名前は「非課税枠」です。

  • 非課税枠は繰り越せない

  • 非課税枠は復活しない

上の二つの点を理解していないと、一年間に少しの金額しか非課税の恩恵を受けられなかった!……なんて悲しい事態になってしまいます。

そんな悲劇に見舞われないために、非課税枠の注意点をしっかり理解しましょう。

キーワードは、「非課税枠は何があっても一年に40万円!」です。

では、キーワードを頭の片隅において、読み進めてください。

 

非課税枠とは?

 

 

まず、非課税枠の説明をします。

非課税枠は、「非課税投資枠」や「非課税投資額」とも呼ばれます。

つみたてNISAで投資できる金額は、一年間に40万円と決められています。

この金額が非課税枠です。

40万円分の投資で出た利益には、税金がかかりません。

非課税にできる金額の上限なので、非課税枠というわけですね。

非課税枠は一年に40万円までですが、絶対に40万円分投資をしなければダメと言うわけではありません。

40万円を越えなければ、年間3万円でも22万円でもいくらでも大丈夫です。

 

非課税枠は繰り越せない

 

非課税枠は、一年に40万円までです。

毎月積み立てをしようと思ったら、最大で月に33,333円ずつ積み立てることができます。

しかし、生活費に、教育費、家のローンに、たまには飲みたいので小遣い、それにすべて投資ばかりに使うのは不安だから貯金を……など、日々生活の中で必要なお金はいくらでもあります。

そうなると毎月33,333円ずつつみたてNISAで積み立てていくのは難しいかも知れません。

上でも説明しましたが、40万円以下なら何の問題もないので、毎月1万円でも5千円ずつの積み立ててでも大丈夫です。

しかし、そうすると非課税枠に余りが出てきます。

この余った非課税枠はどうなるかと言うと、残念なことに消滅してしまいます。

これが一つ目の注意ポイントです。

非課税枠の余りは、次の年に繰り越すことができません。

例えば毎月1万円ずつ積み立てた場合、非課税枠の余りは28万円になりますよね?

その28万円を次の年の非課税枠にプラスして、余り分の非課税枠28万円+次の年の40万円を合わせて、次の年の非課税枠は68万円とはなりません。

非課税枠は、前年の非課税枠が余っていても繰り越しできないので、一年間に40万円までとなります。

 

非課税枠は復活しない

 

 

非課税枠が復活しないとは?

お金が必要になったとき、つみたてNISAで積み立てていた投資信託を売って、お金に換えることができます。

しかし、非課税枠内で買った投資信託を売っても、非課税枠は復活しません。

ちょっとわかりにくいので、具体的に説明します。

今年すでに40万円分の投資信託を買っていたとします。

お金が必要になり、この40万円分の投資信託を売ってお金に換えました。

非課税枠内のものをすべて売ったので、非課税枠内のお金はゼロですが、この年に再び投資をすることはできません。

資産となる投資信託が手元になくても、非課税枠が元の40万円に戻ることはないんです。

投資信託を売っても復活することがないとはこういうことです。

これが二つ目の注意ポイントですね。

非課税枠で投資できるのは、売った分も非課税枠に含むと考えて、一年間に40万円までです。

売って買ってを繰り返すと、長期保有で非課税にできる金額はどんどん減ってしまうので注意しましょう。

復活しないせいで出てくる問題がある

非課税枠が復活しないなら、売らなきゃいいんじゃないの?と、思う方もいるかもしれませんね。

しかし、復活しないことで問題も起きてくるんです。

問題点は二つあります。

  • スイッチングできない

  • リバランスがやりにくい

 

スイッチングもリバランスも専門用語なので、詳しく説明していきます。

 

【問題その一】スイッチングできない

もし、今買っている投資信託より、もっと魅力的な投資信託が新しく登場したら、あなたはどうしますか?

新しい投資信託は、今買っている投資信託より、コストがとても安く、長い目で見るととてもお得です。

この場合、とれる選択肢は4つあります。

  • 今の投資信託を買うのを止めて、新しい投資信託を買い始める。

  • 今の投資信託に積み立てしている金額の何割かを新しい投資信託に回して二本保有する。

  • 今の投資信託を続けながら、課税口座で新しい投資信託を買う。

  • 新しい投資信託を諦めて、今の投資信託を買い続ける。

 

本来なら、もう一つ選択肢があるんです。

それは、今の投資信託を売って、新しい投資信託を買うです。

投資信託の入れ替えを行うので、専門用語でスイッチングと言います。

非課税枠が再び使えるなら、今持っている投資信託をお金に換えて、魅力いっぱいの新しい投資信託に交換することができたんです。

新しい投資信託は、コストも安いので将来的に得をします。

それでも、スイッチングができないので、コストの高い今までの投資信託を持ち続けるか、今までの投資信託売って非課税枠を無駄にするしかありません。

スイッチングができたら、新しい投資信託で、非課税枠を有効に活用できるんですが……

これって、ちょっと悔しいですよね。

【問題その2】リバランスできない

リバランスが何かを説明する前に、投資の基本的な話を少しだけしますね。

「卵は一つのカゴに盛るな」

という言葉を知っていますか?

投資の世界の格言です。

一つのカゴに卵が10個入っています。

このカゴを落とすと、卵はすべて割れてしまいますよね?

投資も同じです。

  • 株=カゴ

  • お金=卵

と考えてください。

一つの株に、どんどんお金を盛っていくと、株の価値が下がったり、会社が倒産すると、大きな損失が出るぞ!ということです。

では、こんな失敗をしないためにはどうすればいいでしょうか?

答は簡単です。

卵を守るには、カゴをたくさん準備すればいいんです。

投資の話に置き換えると、投資先を増やせばいいんです。

これは、株だけに限った話ではありません。

投資信託にも同じことが言えるんです。

投資信託は色んな国の株や債券、不動産を一つのパッケージにした商品です。

お菓子の大袋のアソートセットみたいな感じですね。

色々なチョコレートやクッキーが一つの大袋に入ってるのと同じような感じです。

大袋が投資信託という商品で、チョコレートやクッキーが投資対象の株や債券と言ったところです。

お菓子のアソートセットを一つ買えば、色々なチョコレートやクッキーが食べられるのと同じで、投資信託を一つ買えば、色々な株や債券などに投資できるんです。

これでも十分分散されています。

しかし、アソートセットにチョコレートだけのものがあったり、クッキーだけのものがあったりするのと同じで、投資信託にも色々なものがあるんです。

日本の株だけのもの、外国の債券だけのもの、先進国の株だけのもの……と、色々な種類があります。

なので、種類の違う投資信託を何本か持つことで、さらにリスクの分散ができるんです。

どんな所や、どんなものに、どのくらいの割合で投資するかを決めたものをポートフォリオと言います。

イメージ的にはこんな感じです。

 

 

このポートフォリオは解説用に適当に作ったものです。

絶対に参考にしないでくださいね!

自分でポートフォリオを組めないという方は、ロボアドバイザー
で診断してみてください。

いくつかの質問に答えると、最適なポートフォリオを教えてくれます。

このポートフォリオに合わせて投資信託を買った後も、半年か一年に見直しをしなければいけません。

なぜなら、景気の良し悪しや、投資信託の運用次第でお金が増えたり減ったりするからです。

なので、たまに見直して、ポートフォリオ通りの割合に戻す作業が必要になります。

これが、リバランスです。

リバランスは、増えてきた分の投資信託を売って、減っている分の投資信託を買い足して行います。

しかし、つみたてNISAでは、投資信託を売っても非課税枠は復活しないので、スイッチングができません。

何度も売り買いをすると、その年に保有できる金額が少なくなります。

非課税枠に余裕のある人なら問題ありませんが、非課税枠ぎりぎりまで投資をしている人は、リバランスが難しいでしょう。

リバランスの方法としては、金額が増えすぎた投資信託を買い控えて、減っている投資信託を買い増しする方法しかありません。

もし、リバランスとか考えたくない!もっと気楽に投資したい!!という方には、バランス型の投資信託がおすすめです。

バランス型の投資信託は、最初から、日本、先進国、新興国、株式、債券、不動産に資産が分散されていて、常に一定のバランスで投資するように作られた投資信託です。

初心者はもちろん、リバランスが面倒だとか、つみたてNISAできっちりポートフォリオ通りに運用したいという方におすすめです。

 

まとめ

 

 

キーワードは、非課税枠は何があっても一年に40万円!

非課税枠は、一年間に非課税で投資できる上限金額のこと。

つみたてNISAの場合は、一年間で40万円。

非課税枠の注意点は二つ

  • 繰り越しができない

  • 復活しない

余った非課税枠は、消滅してしまう。

次の年に繰り越すことは不可能。

一度使った非課税枠は、投資信託を売っても復活しない。

そのため、持っている投資信託を売って別の投資信託に買い換えるスイッチングができない。

さらに、複数持っている投資信託のバランスを整えるリバランスも難しい。

 

限度があることを忘れない

 

 

つみたてNISAは、投資の利益に税金がかからないすばらしい制度です。

しかし、その分制約が厳しいですね。

非課税枠は、どのような場合でも一年間に買える金額は40万円までです。

40万円の上限は絶対です。

去年の分が余っていても、プラスできるわけではありません。

そして、売り買いを繰り返すと、非課税投資枠はどんどん少なくなって、結果的にちょっとしか非課税の恩恵を受けられなかった!なんてならないように注意してください。

つみたてNISAをはじめるときは、頭の片隅に「非課税枠は何があっても一年間に40万円」と、ぜひ覚えておいてくださいね。