つみたてNISAの大半をしめるインデックスファンドをわかりやすく解説します

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“初心者向けで、少額から投資ができて、しかも非課税!”

手軽に実践できるかもと、つみたてNISAで投資をはじめようと思っている方は多いと思います。

しかし、いざはじめようと思っても、専門用語がたくさんでよくわからない!なんてことになっていませんか?

今回は、つみたてNISAで扱っている投資信託についてお話していこうと思います。

投資信託には二つの運用スタイルがあります。

「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の二つのスタイルです。

つみたてNISAで扱っている投資信託は、全部で160本あります。

その中でインデックスファンドは142本、アクティブファンドは18本です。

圧倒的にインデックスファンドが多いですね。

今回は、つみたてNISAの商品の大半を占めるインデックスファンドについて詳しく説明していきます。

なぜインデックスファンドを取り上げたのかというと、インデックスファンドは投資初心者でも簡単に選べて、比較的リスクの少ない商品だからです。

初心者にも優しいインデックスファンドの仕組みをできる限り詳しく、そして簡単に説明していきます。

メリットやデメリット、投資信託を選ぶヒントも書いているので、これからつみたてNISAをはじめようと思っている方は、ぜひ読んでください。

 

インデックスファンドは、指数と連動した投資信託のこと

 

 

インデックスファンドってなに?

インデックスファンドをひとことで説明すると、「株価指数」や「債券指数」などの指数の動きと同じ動きになるように運用される投資信託のことです。

簡単に説明しましたが、まだわかりにくいですよね。

説明を難しくしているのは「指数」という言葉ではないでしょうか?

インデックスファンドを理解するために「指数」が何なのかを説明していきます。

 

指数とは?

指数とは、ルールに基づいて選んだ複数のモノの値段を平均して数値化したものです。

まだまだわかりにくいですね。

もう少し具体的に説明していきましょう。

インデックスファンドは、主に株と債券の指数を基準に運用していきます。

つまり、インデックスファンドは、株や債券の平均的な値動きと同じような成果を上げることを目的としているんです。

株の指数を株価指数、債券の指数を債券指数と言います。

基準となる指数のことを「ベンチマーク」と言います。

 

・株価指数

そもそも株とは?

株価指数を説明する前にちょっと寄り道をしますね。

そもそも株って何か知っていますか?

株とは、企業が会社を大きくしたり、新商品を開発したりするのに必要なお金を集めるために発行する証書のことです。

株を買うということは、企業が事業を大きくするためのお金を貸すことを意味します。

ちなみに株には、返済期限がありません。

その代わり、株を買った人は株主となり、会社方針に関わることができます。

また、企業は利益が出るとその利益を配当金や優待という形で還元してくれます。

・株はどこで買えるの?

さて、そんなお得な株はどうやって買うのでしょうか?

それぞれの企業で直接買えるものではありません。

株は証券取引所という場所で売買されています。

・どうして値段が上がったり下がったりするの?

株の値段(株価と言います)は、上がったり下がったりしています。

なぜ株価が上がったり下がったりするのかというと、人気があるものほどみんな欲しいし、興味がないものはいらないからです。

爆発的人気が出た商品って、どこも品薄や売り切れになっていて、買えなかったりしますよね?

品切れで買えない人の中には、オークションで定価より高い値段がついていても買ってしまう人がいます。

他の人よりお金を出してでも人気の商品が欲しい!

株の世界でも同じことが起きています。

売る人からすれば高く売れる方がいいですから、高い値段を付けてくれた人に売るようになります。

ニュースで取り上げられたり、急成長しているなどの理由で人気に火がつくと株価はぐんぐん上がります。

逆に、業績が落ちている企業の株は、持っていてもいいことはないので売りに出されます。

でも、みんな業績が悪いのを知っているので買ってくれません。

そこで、売りたい人は値段を下げて売るようになります。

それでも売れない場合はさらに値段を下げることに……。

このように、欲しい人と売りたい人のやり取りが発生するので、株価は上下しているわけです。

 

株価指数とは

では、話を元に戻しまょう。

世の中には、たくさんの株が存在しています。

トヨタやイオンなど有名な企業から、名前を聞いたことのない企業まで色々な株があります。

株価指数は、証券取引所で売買されている多数の株の中から一定のルールを設けて選び出した企業の株価を平均して、数値化したものです。

株価指数は、一つだけではありません。

いくつもの株価指数が存在しています。

少し例を挙げてみましょう。

  • 日本……日経平均株価、TOPIX(東証株価数)

  • 世界……MSCI World、MSCI AC World

  • アメリカ……ダウ工業株、S&P500

 

株価指数は景気の良し悪しを反映するので、日経株価平均やTOPIXという言葉をよくニュースで聞くのはこのためです。

 

・債券指数

債券とは

再びここで寄り道をします。

債券は、国や地方公共団体、企業などがお金を借りるために発行する証書のことです。

国や企業などにお金を貸して、その証明にもらうのが債券ですね。

株とは何が違うのでしょうか?

それは、債券には返済義務があり、返済期日があることです。

そして、返済期限までの間、貸した人には利子が支払われます。

銀行からお金を借りるのと同じシステムですね。

 

債券指数とは

国や企業の債券の中から一定のルールを設けて選んだ複数の債券価格を集約した指標です。

代表的な債券指数は下の通りです。

  • 日本……NOMURA-BPI 総合

  • 世界……FTSE WGBI、Bloomberg Barclays Global Aggregate Index

 

日経平均?TOPIX?どんな指数があるのか詳しく解説します。

 

 

インデックスファンドは、ここまで説明してきた指数の値 動きと同じ動きになるように運用されます。

上でも代表的な指数に触れましたが、もっと詳しく説明していきたいと思います。

これから説明するのは、インデックスファンドでもベンチマークとしてよく使用される4つの株価指数です。

  • 日経平均株価

  • TOPIX(トピックス)

  • ダウ工業株30種

  • S&P500

この四つは、日本とアメリカの景気の良し悪しを判断する基準にもなっています。

どんなものか知っておくと教養としても役立つと思います。

では、一つずつどんな株価指数なのか見ていきましょう。

日経平均株価

日経平均株価は、日本の代表的な株価指数です。

「日経平均」や「日経225」とも呼ばれます。

日本最大の証券取引所である東京証券取引所(東証)の大企業ばかりの株を扱っている「第一部」と言われる部門の中から選ばれた225の企業の株価の平均値です。

東証一部市場で株が取引されているのは、約2000の企業です。

その中から特に取引が活発に行われている225の企業が選ばれています。

 

TOPIX

TOPIXは、東証株価指数(Tokyo Stock Price Index)の略です。

東証一部市場に名前の上がってい約2000の企業のすべての株価から算出されます。

TOPIXは、円ではなくポイントで表されます。

どういう事かというと、1968年1月4日の時価総額を100ポイントと定めて、その時々の時価総額を指数化して比較します。

計算方法は、算出する時価総額の合計額÷基準点の時価総額で導くことができます。

基準となる数値と比べて、数字が大きくなっているか小さくなっているかで、株価が上がっているか下がっているかがわかります。

ちなみにこの記事を書いた2019年8月27日のTOPIXは1,489.69ポイントでした。

約50年ほど前と比べてると経済がぐんっと成長していることかわがわかりますね。

 

ダウ工業株30種

アメリカの株価指数です。

「ニューヨーク・ダウ」や「ニューヨーク平均株価」とも呼ばれます。

ニュースでも、日経平均株価と一緒に登場したりしますよね。

日経平均株価のアメリカ版といえる指数で、アメリカを代表する企業30社の株価の平均数値です。

ダウ工業株30種に選ばれているのは、アップルやディズニー、ボーイングなど、日本でも有名な企業が名前を連ねています。

S&P500

S&P500は、ニューヨーク証券取引所、NASDAQ、NYSE
Americanの3つのアメリカの有名な証券取引所に上場している500社の株価で構成されます。

TOPIXのアメリカ版のようなものです。

しかし、TOPIXとまったく一緒ではありません。

主に違う点が二つあります。

  • 3つの証券取引所から企業を選んでいる

  • 基準となる数値が1941年から43年の平均を10として比較する

 

TOPIXは東証一部の中だけで完結しますが、S&P500はいくつかの証券取引所の中から企業を選んでいます。

基準となる数値は、TOPIXがたった一日の株価を基準にしているのに対して、S&P500は三年間の時価総額の平均となっています。

 

インデックスファンドのメリット

 

 

インデックスファンドにはどんなメリットがあるのか見ていきましょう。

主なメリットは、次の四つです。

  • 堅実な運用ができる

  • 低コスト

  • 分散投資ができる

  • シンプルで選びやすい

 

①堅実な運用ができる

株価指数の変動を見ることで、景気の良し悪しがわかるとお話ししましたね。

つまり、インデックスファンドは、世の中の経済状況と密接に関わっているんです。

経済は良い時と悪い時を繰り返していますが、長期的な目で見ると、緩やかに成長していくと言われています。

何かトラブルがあって株価指数ががくっと下がっても、時間をかけることで株価指数は元に戻り、さらに値上がっていくんです。

景気の状態が悪いと値が下がることがありますが、長期間投資することで、安定して資産を増やせるのがインデックスファンドの魅力です。

 

②低コスト

インデックスファンドは、信託報酬が安い傾向にあります。

信託報酬とは、私たちの代わりにお金の運用をしてくれている専門家に支払う手数料のことです。

信託報酬についての詳しい説明はこちらの記事を参考にしてください。

 

 

何と比べて信託報酬が安いと言えるのかですが、アクティブファンドと比べて信託報酬が安くなっています。

アクティブファンドとは、指数より高い利益を出すことを目標とした投資信託です。

指数に頼らず、大きく儲かる攻めの運用をするので、利益が増える可能性がありますが、その分リスクも大きくなります。

信託報酬は、運用がうまくいっていなくても必ず支払わなければならない手数料です。

お金を増やすためにつみたてNISAをはじめたのに、無駄な出費が増えてしまっては元も子もありません。

すべてのアクティブファンドの信託報酬が割高になるわけではありませんが、インデックスファンドの信託報酬の方が、アクティブファンドに比べて安い傾向にあります。

 

③色々な企業に分散投資ができる

もし、日経平均株価と連動するインデックスファンドに投資をすると、東証一部に指定されている225の企業に投資したことになります。

楽天やトヨタ、JRなど身近な大企業の株を買っていることになるわけですね。

個人で株を買うと大金が必要ですが、投資信託だと、少額から色々な株に投資できます。

また、色々なものに分散して投資することは、お金が目減りするリスクを減らすことにも繋がります。

一つの会社の株だけを買った場合、その会社が倒産してしまえば、投資したお金は消えてしまいます。

色々なものに分けて投資した場合、一つの会社が倒産しても、他の会社の株があるのでお金が“0”になることはありません。

分散投資は、投資の基本です。

基本をしっかりおさえた堅実な運用がインデックスファンドのいいところです。

 

④シンプルで悩まない

インデックスファンドは、それぞれの指数と同じように動く投資信託です。

投資信託のチャートとベンチマークとなっているチャートを見比べてみましょう。

二つが同じ動きをしていたら、しっかりと運用できている証拠です。

どれがいい投資信託なのか、簡単に見分けることができます。

これなら初心者でも投資信託の良し悪しが簡単にわかりますね。

 

インデックスファンドのデメリット

 

 

メリットの多いインデックスファンドですが、デメリットも存在しています。

デメリットは主に二つです。

  • 大きな利益が望めない

  • 元本割れのリスク

 

①大きな利益が望めない

インデックスファンドは、ベンチマークにそった値動きをします。

もし、ぐんぐん成長している企業があったとしてもそこに一点集中して投資して、利益を出すようなことはしません。

あくまで、すべての企業の平均した数値と同じになるように運用します。

確実に利益が出るとわかっていても、ベンチマークと同じ値動きをするのがインデックスファンドです。

なので、経済と一緒に緩やかな成長をして、利益を出します。

大きな利益を求める方には、向かない投資スタイルと言えますね。

大きな利益を求める場合は、リスクも大きくなりますが、アクティブファンドに投資をすることも考えてみましょう。

また、つみたてNISAではなくNISAなら非課税で株に投資することもできます。

 

②元本割れのリス

インデックスファンドは、堅実な運用だとお話ししました。

しかし、アクティブファンドや個人で株を買う場合などと比べてです。

堅実だと言っても、投資である以上リスクがついて回ります。

緩やかに成長し続ける経済ですが、戦争やリーマンショックのような経済的な事件があると、がくっと指数が下がります。

不測の事態が起きてどうしてもお金が必要になって、投資信託を売らなければならない事態になったとします。

もしその時に、経済的に大きな事件が起きて経済が冷え込んでいると、投資した額より安い金額で投資信託を売らなければなりません。

そうなってしまうと、元本割れを起こしてしまいますね。

投資である以上、元本割れのリスクは避けられません。

しかし、このような事態にならないように、いつでも使えるお金をある程度手元に残しておくことも大切です。

 

まとめ

 

 

インデックスファンドは、様々な指数と同じ成果を上げることを目標とした投資信託です。

指数とは

ある一定のルールに基づいて選んだ物の値段を平均して数値化したもの。

インデックスファンドでは、主に株価指数や債券指数の値動きと同じ動きをするものが多い。

よく使われる株価指数

  • 日経平均株価……東証一部の中の225の企業の株価の平均値。

  • TOPIX……東証一部に上場されたすべての企業から算出される。、1968年1月4日の時価総額を100ポイントと定めて、その時々の時価総額を数値化したもの。

  • ダウ工業株……アメリカを代表する企業30社の株価の平均数値。

  • S&P500……アメリカの有名な証券取引所に上場している500社の株価で構成。TOPIXのアメリカ版のようなもの。

 

インデックスファンドのメリット

  • 堅実な運用ができる

  • コストが安い

  • 分散投資ができる

  • シンプルで選びやすい

 

インデックスファンドのデメリット

  • 大きな利益が望めない

  • 元本割れのリスクがある

 

インデックスファンドは堅実に資産を増やす投資信託

 

 

インデックスファンドの仕組みからメリットとデメリットまで、できる限り詳しく説明してきました。

インデックスファンドは、選び方が簡単で、堅実な運用ができます。

堅実な分、面白いほどお金が増えていくということはありません。

つみたてNISAと合わせることで、コストを減らし、じっくりと長期間運用していくのにぴったりの投資信託です。

はじめて投資する方は、不安なことがたくさんあると思います。

まずは少額から、投資がどんなものか知るために、つみたてNISAでインデックスファンドに投資をしてみてはいかがでしょうか?