節税の強い味方!損益通算ってなに?ただし、つみたてNISAでは使えない!?

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二月に入ると「そろそろ確定申告を……」なんて言葉を耳にします。

確定申告で決められるのは、所得税です。

所得税は、私たちが稼いだお金にかかる税金です。

納税は国民の義務ですが、できるだけ出費は抑えたいものですよね。

今回は投資をしている方、もしくはしようとしている方に必見の節税対策を紹介します。

投資もりっぱな収入源の一つなので、課税対象になります。

しかし、投資は必ず儲かるわけではありません。

損をすることだってあります。

損をするとショックですが、実はその損が節税対策に繋がるんです。

今回は、損をするのに得をする「損益通算」について説明していきます。

 

損をするのに得をする?損益通算ってなに?

 

 

損益通算を簡単に説明すると、利益から損失を引いた額を課税対象とする制度です。

説明だけでは難しいので、例をあげて説明します。

A証券の株取引で50万円の利益がありました。

しかし、B証券の株取引では20万円の損失が出てしまいました。

損益通算は、利益から損失を引いた金額が課税対象になります。

なので、今回の例だと……

A証券の利益50万円-B証券の損失20万円=課税対象は30万円

となります。

投資で出た利益には、約20%の税金がかかります。

20%って結構大きな金額ですよね。

でも、納税は義務なので仕方ありません。

この例の場合は30万円が課税の対象なので、税金は6万円になります。

もし、損益通算をしなければ50万円に20%の税金がかかるので、10万円が課税されます。

損益通算すれば4万円の節税ができるんです。

株では損をしていますが、節税という意味では損失があるおかげで得をしていますね。

 

損益通算の注意点

 

【注意点1】損益通算できる組み合わせとできない組み合わせがある

私たちの身の回りにある利益と損失で損益通算ができるなら、株取引の損失を給料と合わせて、給料にかかる税金を安くできるのでは?

なんて、考えたりしませんか?

残念なことに、株と給料を損益通算する事はできません。

損益通算できる組み合わせと、できない組み合わせがあるんです。

投資で出た損益は、投資の中で出た損益同士でしか計算できません。

ここで言う投資とは、株式、投資信託、債券を指します。

この中の組み合わせであれば、損益通算が可能です。

三つと言っても組み合わせは、意外と多いです。

まず、それぞれでお金が動く時を説明していきます。

 

  • 株式

    • 株を売ったとき

    • 配当金

 

  • 投資信託

    • 投資信託を売ったとき

    • 分配金

 

  • 債券

    • 債券を売ったとき

    • 満期を迎えたとき、買った金額と返ってきた金額が変わっている場合

    • 利子

 

配当金、分配金、利子は、持っていることで発生する利益です。

減ることはあってもマイナスになることはありません。

持っているだけで増える利益を専門用語でインカムゲインと言います。

ただし、インカムゲインを損益通算する場合は、納税方法を「申告分離課税」にする必要があります。

株や投資信託、債券を売ったときは、利益が必ず出るとは限りません。

運が悪ければ、買ったときより安い値段で売ることもあります。

専門用語で、利益が出たときはキャピタルゲイン、損失が出たときはキャピタルロスと言います。

債券には、満期になったら○○円返すという約束があります。

株が値下がりするのと違って、債券は最初に約束をしているので、国が破綻したり、会社が倒産しない限りお金がちゃんと返ってきます。

この満期で返す約束をした金額のことを額面金額と言います。

しかし、債券が売りに出されるとき、額面金額と同じ金額で売り出されるとは限らないんです。

例えば、満期になったら100万円返しますという額面金額の債券があったとします。

返ってくるのは100万円ですが、売るときの値段は99万円だったり、101万円だったりするんです。

返ってくるのは100万円の約束なので、99万円で買った人は1万円得しますし、101万円で買った人は1万円損をします。

得をした場合は償還差益、損をした場合は償還差損と言います。

今までに説明してきた利益や損失を足したり引いたりして、プラスになった分が課税対象になります。

損益通算できるのは、投資で出た損益だけです。

他の損益とは、損益通算できないので注意してください。

 

【注意点2】つみたてNISAやNISAでは損益通算できない

株式、投資信託、債券の組み合わせで損益通算ができますと説明しましたが、一つ例外が存在しています。

それは、つみたてNISAやNISAです。

つみたてNISAやNISAは、投資で出た利益に税金がかからないお得な制度です。

株を売って20万円儲けたとしましょう。

普通の証券口座だと、20万円利益が出ても税金が20%かかります。

税金で4万円引かれて、手元に残るのは16万円です。

しかし、つみたてNISAやNISA口座の場合は、20万円の利益がそっくりそのまま自分のものになります。

つみたてNISAやNISAの節税効果のすごさがわかってもらえたでしょうか?

利益が出た場合は、とても得をします。

しかし、損失が出た場合は損益通算の対象になりません。

一般の証券口座で10万円の利益があって、NISA口座で10万円の損失があっても、損益通算はできません。

なので、一般の証券口座で出た利益10万円分は、そのまま課税の対象になってしまいます。

つみたてNISAやNISA口座で出た損失は、本当にただの損です。

 

繰越控除も節税の強い味方になる

 

 

損益通算をしようとした場合、利益より損失の方が多くなった場合はどうなると思いますか?

例えば、A証券の株取引で50万円の損失を出して、B証券の株取引で20万円利益を得た場合です。

B証券の利益20万円-A証券の損失50万円=30万円の損失となります。

利益を超える損失が出たときは、損失を次の年に繰り越すことができるんです。

これを繰越控除と言います。

繰越控除の期間は、3年間です。

上の例をそのまま活用して、具体的な例をあげていきます。

上の例では30万円の損失があります。

この年は、損益通算がマイナスだったので、課税されません。

次の年、A証券で株取引の利益が10万円、B証券で株取引の利益が30万円出たとします。

A証券の利益が10万円+B証券の利益30万円-前年分の損失を繰り越した30万円=課税対象10万円

10万円にかかる税金は、2万円です。

もし、繰越控除ができなければ、A証券の利益10万円とB証券の利益30万円の合計40万円が課税対象になってしまいます。

40万円にかかる税金は、8万円です。

2万円と8万円。

変な言い方ですが、前年の損が次の年にも活かされて、節税されているのがわかりますね。

 

損益通算や繰越控除をするには確定申告が必要

 

 

損益通算や繰越控除をするためには、確定申告が必要です。

確定申告とは?

確定申告とは、所得税の金額を決めるために、収入の内訳を報告する制度です。

サラリーマンならすべて会社がしてくれる場合もあります。

しかし、本業以外にマンションを誰かに貸して家賃をもらっているとか、副業のネットビジネスで稼いでいるや、株の利益などがある場合は確定申告をしなければいけません。

確定申告によって、投資の損益の具合を国に報告して、損益通算や繰越控除が可能になるわけです。

確定申告しなくてもいいケースもある

投資をしている人すべてが確定申告しなければならないわけではありません。

確定申告をしなくていい人もたくさんいます。

  • 本業以外の収入が20万円以下

  • 一つの証券会社で、源泉徴収“あり”の特定口座で取引している

上の二つに当てはまる方は、確定申告をしなくても大丈夫です。

【本業以外の収入が20万円以下の場合】

本業以外の収入が20万円以下の場合、所得税は発生しないので、確定申告は不要です。

しかし、所得税はかかりませんが、住民税は発生します。

なので、住んでいる地域の役所のホームページを確認して、住民税の申告はおこなってください。

 

【源泉徴収ありの特定口座の場合】

源泉徴収ありの特定口座で投資をしている場合は、証券会社が必要な手続きを代行してくれます。

ただし、一つの証券会社を使っている場合に限ります。

複数の証券会社で取引をしている人は、損が出た場合は、確定申告をしないと損益通算や繰越控除ができないので注意してください。

確定申告が必要なケース

確定申告が必要なのは、上のケースに当てはまらない場合です。

  • 本業以外の収入が20万円以上ある

  • 一般口座か、源泉徴収“なし”の特定口座で取引している

  • 複数の証券会社で源泉徴収“あり”の特定口座を使っている

 

この三つにあてはまる方は、しっかり確定申告をしましょう。

 

まとめ

 

 

・損益通算

投資で出た利益から損失を引いた額を課税対象とする制度。

損失分の課税が免除されるので、節税効果がある。

 

・損益通算の注意点

①損益通算できるのは、株式、投資信託、債権の組み合わせに限る。

配当金などインカムゲインは、納税方法を「申告分離課税」にする必要あり。

②つみたてNISAやNISAは損益通算の対象にならない。

 

・繰越控除

一年間の利益より損失が多くなった場合、その損失を三年間繰り越して節税ができる制度。

 

・確定申告

確定申告とは、所得税の金額を決めるために、収入を自己申告する制度。

損益通算や繰越控除は、確定申告で手続きをする。

【確定申告が不必要なケース】

  • 本業以外の収入が20万円以下

  • 一つの証券会社で、源泉徴収“あり”の特定口座で取引している

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【確定申告が必要なケース】

  • 副収入が20万円以上ある

  • 一般口座か源泉徴収“なし”の特定口座”で取引している

  • 複数の証券会社で、源泉徴収“あり”の特定口座を使っている

 

損益通算は、損をお得に変えてくれるすばらしい制度です。

株や投資信託でマイナスが出るのは悲しいことですが、その損が節税対策になるのでほんの少しだけ気持ちが晴れますね。

税金は必ず払わなければなりません。

しかし、今回説明した損益通算のように、条件によって課税対象から除外されるものがあります。

それらの条件を知って、少しでも節税できるようにしたいですね。