突然ですが問題です。
「せんべい」と「おかき」
違いがわかりますか?
どちらも同じに見えますが、明確な違いがあります。
答えは、お米の違いです。
せんべいは、普段食べるお米、うるち米からできています。
おかきは、お餅を作るもち米で作られているそうです。
世の中には、似ているのによく調べると中身が違うものがたくさんありますよね。
この記事を見ている人は、同じNISAと名前が付いていても、「つみたてNISA」と「普通のNISA」の違いを知りたい方や、どちらにするか迷っている方が多いのではないでしょうか。
この二つも知れば知るほど違いがありますからね。
せんべいや、おかきは、好きな方を好きなだけ食べられます。
しかし、二つのNISAは、どちらか一つしか選べません。
途中でもう片方に切り替えることができますが、はじめるからには、後悔したくないですよね?
今回は二つのNISAの特徴やメリットを比較しつつ、どちらのNISAを選べばいいのか考えていきたいと思います。
まず、結論を言ってしまうと、
-
どのくらいの金額を投資できるか
-
今までの投資経験
以上の2点を考えていくと、どちらのNISAがいいのか答えが見えてきます。
上の2点を踏まえつつ、つみたてNISAと普通のNISA(これからは「NISA」と呼びます)の特徴やメリットを知って、どちらを選ぶか参考にしてみてください。
目次
つみたてNISAとNISAのそれぞれの特徴は?
つみたてNISA |
NISA |
|
利用者 |
日本在住 20歳以上 |
|
非課税対象 |
売却益、配当金、分配金 |
|
投資期間 |
2018年~2037年 20年間 |
2014年~2023年 5年間 |
非課税枠の上限 |
40万円 |
120万円 |
非課税期間 |
20年 |
5年 |
取扱商品 |
金融庁の基準を満たした 投資信託、ETF |
上場株式、投資信託 ETF、REITなど |
比べやすいように表にまとめました。
聞き慣れない言葉も多いのではないでしょうか?
まず、それぞれの項目の説明と特徴を理解していきましょう。
共通点
利用者は、つみたてNISAやNISAの証券口座を持つことができる人ですね。
日本に住んでいる、20歳以上の人が対象です。
次に、非課税対象についてです。
日本では、利益が出たものに税金がかかります。
投資の利益も例外ではなく、20.315%の税金がかかってしまうんです。
この税金を免除できる制度が、つみたてNISAとNISAです。
税金のかからない対象を細かく見ていくと、下のようになります。
-
売却益……値上がりした商品を売ったときの利益
-
配当金……株を持っている株主に支払われる会社の利益
-
分配金……持っている投資信託の運用によって得られる利益
すべて、投資で得られる利益です。
これらの投資に関わる利益に税金がかからないのが、最大のメリットです。
違う点
・投資期間
残念なことに、どちらのNISAも永久に続く制度ではありません。
投資ができる期間に期限があります。
-
つみたてNISA……2018年~2037年の間の20年間
-
NISA……2014年~2023年の間の5年間
つみたてNISAは長期間の投資ができますが、NISAは短期間ですね。
さて、なんだか矛盾を感じないですか?
少し考えてみましょう。
つみたてNISAを2020年からはじめたとします。
投資できる期間は20年間です。
しかし、投資ができるのは2037年までしかありません。
つまり、投資できるのは18年間ということになります。
そうなんです。
投資できる期限が設けられているせいで、2019年以降は、はじめる年が遅ければ遅いほど、投資期間が短くなってしまうということですね。
NISAも同じです。
NISAの投資期間は、2023年までです。
2019年に利用をはじめないと、投資できる期間が減ってしまいます。
税金がかからないとてもありがたい制度ですが、期限は限られているので注意が必要ですね。
NISAの場合は、投資期間が終わったら、つみたてNISAをはじめるという手があります。
つみたてNISAの投資期間が終わった後は、まだ20年先のことなのでどうなるかわかりませんね。
私たちや私たちの子供たちにとって、お得な制度ができていることを祈るのみです。
・非課税枠の上限
非課税枠とは、1月1日から12月31日の1年間に投資ができる金額のことです。
どちらも、自分が投資したいだけ投資をできるわけではありません。
上限金額が設けられています。
-
つみたてNISA……40万円
-
NISA……120万円
1年に投資できる金額の差は3倍!
かなり差がありますね。
ここに書いた数字は、めいっぱい投資したときの金額です。
1年間で、40万円とか120万円を投資しなければならないという金額ではありません。
上限以下の金額なら、いくらでも大丈夫です。
・非課税期間
税金がかからない年数です。
-
つみたてNISA……20年間
-
NISA……5年間
こちらも、期間がまったく違いますね。
ここで、投資期間と非課税期間について少し話します。
例えば、2020年に1年間投資したと仮定します。
何年後まで税金がかからないでしょうか?
答えはこうなります。
-
つみたてNISA……20年後の2040年まで非課税
-
NISA……5年後の2025年まで非課税
2030年に投資した分を例にすると
-
つみたてNISA……20年後の2050年まで非課税
-
NISA……投資期間が過ぎているので、制度自体が存在していない。
と、こうなります。
投資期間を超えても、非課税期間は続きます。
投資期間が過ぎても、しっかり非課税期間は続きます。
非課税期間が短いNISAですが、2018年までは、ロールオーバーと言う制度が存在していました。
ロールオーバーとは、所定の手続きをすることで、非課税の期間を5年間延長できる制度です。
本来ならNISAも非課税期間が10年まで延長できていたんですよ。
残念なことに2019年以降は、5年後には2023年の投資期間を過ぎているため、ロールオーバー制度は使えません。
少しでも長くお得に投資ができるように、投資期間を設けるのをやめるか、延長して欲しいですよね。
・取扱商品
どんなものに投資できるかです。
-
つみたてNISA……金融庁が設けた基準をクリアした投資信託とETF
-
NISA……上場株式、投資信託、ETF、REITなど
つみたてNISAで投資できるのは、金融庁の基準をクリアした160本の投資信託がメインです。
ETFは、上場された投資信託のことを言います。
ETFは3本あり、全部で163本の中から投資したい商品を選びます。(2019年5月7日時点)
NISAの方は、国内外の上場株式に、つみたてNISAで金融庁が設けた基準外のものを含んだ投資信託とETF、それに不動産に投資できるREITなどなど。
色々なものに投資できるようになっています。
二つを比べると、金融庁お墨付きの比較的安全な商品を買うか、自分で買いたいものを自由に選ぶかの差がありますね。
・投資の仕方
表には書けませんでしたが、もう一つ違いがあります。
投資の仕方にも違いがあるんです。
つみたてNISAは、“つみたて”と言われている通り、定額をこつこつ投資して積み立てていきます。
例えば、毎月1万円ずつや、年2回20万円ずつなど、決まった間隔で、決まった金額を投資するようになります。
NISAは、定期的に積み立てる必要がありません。
自分がいいと思ったときに、投資することができます。
もちろん、何度かにわけて投資することも可能です。
こつこつ積立するスタイルと、自分のタイミングで好きなように投資するスタイルにわかれます。
メリットを知って、どっちを選ぶか考えましょう。
さて、つみたてNISAとNISAの特徴をみてきました。
最初あげたポイントを覚えていますか?
-
どのくらいの金額を投資できるか
-
今までの投資経験
この2つでしたね。
特徴とポイントとを照らし合わせてみていきましょう。
【ポイント1】どのくらいの金額を投資できるか?
1年間に投資できる上限額は、つみたてNISAが40万円、NISAが120万円でしたね。
1年にどれだけの投資ができるかで、つみたてNISAとNISAを選ぶことができます。
40万円以下の投資額ならつみたてNISA、40万円を越えるようならばNISAで運用を考えることができます。
ただし、投資するために生活を切り詰めたりしないでくださいね。
投資は、余裕のあるお金でするのが一番です。
無理はせず、できる範囲でこつこつと投資していくようにしましょう。
このできる範囲でこつこつとが、少額からはじめられるつみたてNISAのメリットです。
逆に、すでに相応の貯金や収入のある方は、NISAを選択肢に入れましょう。
大きな金額を投資する分、1年間に免除される税金の金額も大きくなります。
【ポイント2】今までの投資経験
株式投資や投資信託などなど何年も投資を続けてきた方と、つみたてNISAやNISAをこれからはじめてみようかな?と、思われる方。
両者の経験の差は歴然ですよね。
これから投資をはじめようという方におすすめなのは、つみたてNISAです。
つみたてNISAには、初心者に優しいメリットがたくさんあります。
①投資の対象が、金融庁の厳選した商品ばかりだということ。
厳選された商品の大半が、投資の専門家が運用してくれる投資信託です。
専門家の運用と、金融庁が選んだ商品なので、経験が不足していてもリスクを抑えて運用することができます。
基本さえおさえていれば、株や経済なんかを今から猛勉強しなくても大丈夫です。
もちろん、知識はないに越したことはないですが……
②定期的にこつこつと積み立てることができる。
上でも少し触れたように、つみたてNISAは、毎日、毎週、毎月、隔月、半年と決まったペースで投資をしていきます。
この方法だと、投資信託の価格が上下するのを、一喜一憂しながら日々見守る必要はありません。
とにかく定期的に積み立てるという簡単な方法です。
定期的に積み立てるだけですが、ドルコスト平均法という立派な投資方法なんですよ。
同じペースで買い続けると、投資信託が安い月はたくさん購入できます。
逆に投資信託が高い月は、少ししか買えません。
長期間この買い方を続けることで、平均購入価格を抑えめに購入していくことができます。
つみたてNISAは初心者にとってたくさんメリットがあると思いませんか?
初心者に優しいつみたてNISAとは逆に、NISAは投資経験が豊富な人におすすめです。
①投資対象の幅が広く、自由に投資ができること。
投資に慣れている方からすると、つみたてNISAの対象商品では物足りないでしょう。
その点、NISAであれば、国内外の上場株式や約6000本の投資信託、ETF、REITと言った数多くの商品から、自分がいいと思うものを選ぶことができます。
②自分の好きなタイミングで投資できる。
定期的に積み立てるつみたてNISAとは違い、NISAは買うタイミングに制限がありません。
商品が値下がりしたタイミングを見計らって、一括で上限額の120万円を投資することも可能です。
リスクは高くなりますが、自由に投資ができて非課税だと言うのがNISAのメリットです。
投資に対して経験豊富な方向けの制度と言えるでしょう。
しかし、投資期間が迫っているので、経験豊富だからNISAがいいとは一概には言えません。
NISAからつみたてNISAに切り替えたり、最初からつみたてNISAを使ったり、投資期間の短さを考える必要があるでしょう。
まとめ
つみたてNISAとNISAは、似ているようで色々な違いがあります。
つみたてNISAとNISAは、どちらか1つしか選べません。
今回は、それぞれの特徴を見ながら、どのくらいの金額を投資できるかと、今までの投資経験に絞って選び方を説明してきました。
40万円を超えるか超えないかが、一つの目安です。
つみたてNISAは初心者に、NISAは経験豊富な方に向いています。
投資期間が迫り、2019年以降は投資できる年数が減っていきます。
しかし、焦りは禁物です。
どちらが自分にあっているか、特徴やメリットを考えながら、後悔をしないように選びましょう。